ベルフォンヌ様は一呼吸おいたあと、さらに話を続ける。


「そして、もうひとつ。この国の英雄――……、彼もまた長らく待ち望んでいた春が舞い込んできました。それはまだ彼が若きときより運命の者と出会い、そして内に秘めながら育ててきた真実の愛。それがようやく叶ったのです。その結果に私は喜びを隠しきれません。どうか皆、彼に最高の祝福を!」




そう言ってベルフォンヌ様は私たちに視線を向ける。

周りにいる参加者たちも、同じように目線をこちらへと移した。



「ベルフォンヌ様……」

「ランスロット。共に良き家庭を作り、幸せになりましょう。そして、おめでとう。アリシア」


「……っ!ありがたきお言葉、感謝致します!」




ランスは片膝を立て、ベルフォンヌ様に対し敬意を表した。

私もまたドレスの両裾を持ち、深く頭を下げる。



周りからは、ひと際大きな拍手が沸き起こった。


そこにはもう冷たい視線など感じられない。

人々の歓声と拍手が聞こえるだけだ。