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眩いシャンデリアの下で、華やかな衣装に身を包んだ貴族たちが歓談している。

ひしめき合う大広間は、相変わらず甘ったるい香水の匂いが充満していた。



今宵、王女ベルフォンヌ様の婚約を祝う宴。


もちろん私もランスも招待客のひとりとして参加していた。

こういった夜会に参加するのは、あのとき以来。


目に映る光景は一年前となにも変わっていないのに、なんとなく異質なものに感じるのは、自分が今置かれている立場があのときとはまったく違うからなのかもしれない。


加えて、まだ私は他の貴族たちの中では悪女として認識されているのも原因のひとつなのだろう。


ディアスの件に関しては、国を混乱させる恐れがあるとして、一部の人間以外には知られぬよう秘密裏に処理され、今に至る。



なにも知らない参加者たちは、私に冷たい視線を向けた。

それはすぐに嘘であると照明されるのは十分に分かってはいるが、やはり人の目に晒されるのは苦痛で仕方ない。

そんな私を気遣ってか、ランスは私から片時も離れず傍にいてくれた。

そして私の腰に腕を回し、時折私に対し笑みを向ける。


堂々としていること。

なにも悪いことなどしていないのだから。

言葉では語らずとも、そう言ってくれているような気がして、弱りかけた気持ちに自信が芽生えるから、とても不思議なものだ。