捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~



一方の私はというと、そんなやり取りをポカンとしながら見ていた。

大体の話の内容は理解できたが、ランスとシーモアの関係性がいまいち分からない。

でも"あの"ランスにあれだけ言えるのだから、シーモアはただ呼ばれただけの医者ではないのだろう。

私は疑問に思う部分を聞こうと、背を向けるシーモアに対して声を掛ける。


「……あの?」

「ん?あ、ああ。すまないね、ほったらかしにしてしまって」


シーモアはその呼びかけに、思い出したかのような反応を見せると、私へと身体を向け直す。

そして寝台の傍にある椅子に腰掛け、話を続けた。


「じゃあ今から診察するからね、上半身だけ裸になって貰うよ。こちらに背を向けられるかい?」

「あ、あのひとつ聞きたいことが。ランスとはどういうご関係で……?」


シーモアは私のドレスの紐を緩めながら、答える。



「ああ。私はね、ランスロット様が生まれる前から、この屋敷の人間たちを診ているんだ。ランスロット様が生まれるときに取り出したのも私だよ」


「まあ、シーモア様が!?」


「小さい頃はよく病気ばかりしていてねぇ、そのたびにここに訪れていたもんだ。最近は身体も鍛えられほとんど呼ばれることもなくなったが、たまにこうして来てみれば……、まったくランスロット様もよくやるね」