今はもうディアスの顔も、不思議と思い出せないほどに薄れている。

それと同時に、人を愛する気持ちも敬う気持ちも忘れてしまったみたいで、どう人を愛するのか、その過程すらも分からなくなってしまった。




――でも、これでいい。


このまま命が尽きるその日まで、今のままいられた方が楽。



父は無理矢理でも相手を探すって言っていたけれど、候補にされた方に申し訳ないわ。


だって、私はもう心を持たない人形のようになってしまったんだもの。



……そうね。

もし、そのときが来たら。



父には申し訳ないけれど、修道院への道を考えるしかないかもしれない。



それが一番、誰も傷付かない方法なのだと思うから……。