捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~


私の発言は自分勝手なことだって、分かってる。


ランスは"騎士"だ。

こんな場面、数えきれないくらい経験しているだろう。

ましてやディアスは悪人。

しかも私を危険な目に合わせた張本人でもある。

罪人を処罰するのは、なんらおかしいことじゃない。


でも私のために、ランスが人に手をかけるのを見たくはなかった。


彼の手は、大きくて温かくて、それでいて安心できる、私にとって大切なものだから。

そのランスの手が、ディアスの血で汚れるのだけは、どうしても避けたかった。


ランスは目を閉じ、ふう、と息を吐く。

そしてカッと目を開くと、勢いよく長剣を引き抜いた。


そこでもディアスは悲鳴のような声を上げる。

体内に刺し込まれた刃の部分には、どろりと赤黒い血が付き、床へと滴り落ちていた。


「……安心しろ、急所は外してある。そのまま死ぬことはない」


「あ、が……」


「痛いか、ディアス。だが、アリシアはそれ以上の傷を心に受けたんだ。アリシアだけじゃない、お前の悪行によって傷つけられた人間は沢山いる。その痛みを知れ、そしてその痛みで悶え苦しめ」