捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~


「なんで泣く?自分が今置かれた状況に、嘆き悲しんでいるのか?」

知らない間に、涙が頬を伝っていた。

ディアスはそんな私を見つめ、眉を顰めた。

「違うわ、あなたを憐れんでいるだけよ。本当に可哀想。くだらないプライドと欲で自分の人生を自らダメにするなんて、とても惨めだと胸が痛むのよ」


「……くそっ!!」


私の発言に身体をわなわなと震わせ、そう吐き捨てるように言うと、私の身体を強く壁に押し付ける。

そしてディアスの右手が私の顎を無理矢理引き上げ、もう片方の左手は首元を覆うように付けられた。


目の前にあるディアスは、すでに正気の沙汰ではない。

瞳孔は開き、その口元は歪むようにして上がっている。


「ならばお前も道連れだ。共に惨めな人生を歩もうじゃないか。ここで殺してしまうのも有りだが、……そうだな。それよりもランスロットにも、決して消えることのない傷を与えてやろう」

「な、なにを……」

「どのみち僕に奪われる運命だったんだよ、アリシア。お前が傷モノになれば、ランスロットとは結婚できない。奴はどんなに悲しむだろうな?あははは、それを想像するだけでも笑いが止まらない!」


殺されることよりも屈辱的な行為を、彼は私にするつもりなのだと、咄嗟に理解した。


「い、いや……!やめて!やめて、お願い!!」


首元にあったディアスの手が、下半身へと下りていき長いドレスのスカートを捲し上げて押し入ろうとしていく。

足をバタつかせ必死に抵抗するも、男の力には到底勝てやしなかった。


同時にディアスの顔が近付く。

私はギュッと目を瞑った。



助けて……!


助けて、ランス……!!