思わず声を荒げる。
ランスだって、楽をして今の地位にいるわけじゃない。
自分の命を賭けて国を守り、この国で生きる人々に平和をもたらしているからこそ、その結果がある。
それを努力もしないで手に入れようとするなんて、ましてや失敗したからと逆恨みなんて、最低以外の何物でもない。
ふと、なぜ?という疑問が生まれた。
ディアスがここまでおかしくなったのは、なにが原因なのだろう?
冷静さに欠けた頭で、それでもランスに問う。
「……ねえ、どうして?私の知っているディアスはこんな人じゃなかったはずよ?なにがそうさせたの?なぜこんなに変わってしまったの!?」
「どうして?……あはははっ、アリシア。僕は元々からこんな人間だよ。君が見ていたのは、君を騙すために作られたもうひとりの"ディアス"さ。君と結婚することにしたのも、ネリベル家の持つ資産のためだけだ。それ以外に君と結婚する理由がどこにある?」
「な……」
「レイス家と違って、ネリベル家は由緒ある家だからね。上手くやれば君の家から金を引き出せると思ってのことさ。最初から君に特別な感情を持ち合わせているわけがないだろう?惨めな女だな、アリシアは」

