「……悲しいな、アリシア。あんなに思い合っていたというのに」
「それはもう過去の話よ!真実を聞いた今、もうあなたを前のような気持ちで見ることなんてできないわ!!」
「ああ、聞いたんだ。ショックだったかい?でも、これはすべて僕の未来のためだったんだ。しいて言うなら君のためでもあったのに」
手を伸ばせばすぐ触れられる位置までディアスは近付くと、床に明かりを置く。
そしてそのまま私の前でしゃがんだ。
私の目線の位置にディアスの顔がある。
嫌でも目に入る変わり果てたディアスの顔に、思わず眉を顰めた。
「まさかあのタイミングでバレてしまうなんて思ってもみなかったよ。せっかく上手くいっていたのに、お陰で今はこんな有様だ」
「あなたは……、一体なにがしたかったの?」
「なにが、って。決まっているじゃないか。金のためだよ。この国の内情を密告することによって、僕のもとには沢山の金が舞い込んできた。しまいにはとある国からはバークレイがその国のものとなったとき、僕を一番いい待遇で迎えてくれるとまで言ってくれたんだ。そんな旨い話に乗らないわけがないだろ?」
「ディアス、あなたって人は……!」
安直な答えに、言葉を失くす。
恥ずかしげもなく「金のため」だなんて言える、ディアスの神経が分からない。
ディアスひとりのせいで、国が危険にさらされているというのに!

