捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

そんなことを考えながら、私はぼんやりと外を眺めていた。


――と、突然。



馬の嘶きが聞こえると共に、馬車が甲高い音を立てて、ガタガタと大きく揺れる。


「きゃ……!!」


私は咄嗟に声を上げた。

馬車が左右に振り回されるように揺れ、踏ん張ろうとしても身体の自由が利かない。


なに!?

なにが起こったというの!?


その後、馬車は勢いよく停まった。

あまりの衝撃に、私は向かいの椅子に前のめりになるように倒れてしまっている。

唐突な出来事に、馬車が止まった後も、理解できていない。

とりあえず倒れた身体を起こそうと椅子に手を掛けた瞬間、腕に鈍い痛みが走った。


「痛っ……」


どうやら倒れた際にぶつけてしまったようだ。

痛む部分を抑えながら、窓を恐る恐る覗く。


しかしその窓からは死角になっていて、外がどんな状況になっているのかまったく見えなかった。