捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

……不思議ね。

あんなに悩んでいたのに、今はもう迷いなんてない。

もう少し、悩むのかと思っていたのに。

もうちょっとだけ、時間が必要かと思っていたのに。

二日なんていらなかった。

むしろ、私自身が時が過ぎるのを待ち望んでしまっている自分がいて……。


そのとき、気付いた。


……ああ、そうなのね。


既にもう、私の気持ちは決まっていたんだ。



窓の外を眺める。

そこはもういつもの田園地帯が広がっていた。


帰ったら、お父様に報告しよう。

正式にランスとの婚約を受け入れると。


そしてランスが屋敷に訪れたときに、言うの。


今まで言えなかった言葉。

今まで認めてこなかった思い。


それを思いっきり、ランスに伝えようと思うわ――……。