捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

……それから、母のこと、自分のこと、家のこと。

色々な出来事が嵐のようにやってきて、そして過ぎ去っていって。

いつしかこの記憶は思い出の奥底に追いやられ、思い出すことも、その後ランスの名を聞いても、ピンとこないほどに忘れ去ってしまっていた。


――でも、今ようやく。



「……思い出した」


どうして今まで忘れていたんだろう。

"ランスロット"という名前も、そこであったことも、今考えれば忘れること自体あり得ないのに。

これまでの自分が恥ずかしく思えてきてしまった。


ランスはずっと私を忘れないでいてくれたの?

"また会おう"という言葉を心に持ち続けたまま、過ごしてきたというの……?


私は呆けた顔をしながら、ランスを見つめる。

ランスはホッとしたような表情を浮かべて、そして私を優しく抱きしめた。


「ようやく、思い出してくれたか。……良かった。会いたかった、アリシア」

ランスは嬉しそうに呟く。

その声が少し震えているような気がして、私の心がトクンと切なく鳴った。