捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

私の心臓はドクドクと脈打っている。

赤くなった顔をあまり見られたくなくて、俯き加減でそう答えた。

ランスはちぇ、と不満げに声を漏らすと、困ったように笑う。


『分かった。そこまで必死にならなくていい』

『ごめんなさい……』

『でも、これだけは言わせてくれ。決して下手なんかじゃなかった。もっと自分に自信を持ったほうがいい。そうすればもっと君は輝くはずだから』

『輝く……?』

『ああ。あの歌を歌っているときの君は、とても眩しいくらいに輝いていた。無意識に引き寄せられてしまうくらいに。……だから』


そう言いかけようとしたとき、遠くから私の名を呼ぶ声が聞こえた。


国王様との接見を終え、屋敷へと帰るらしい。



私は慌てて立ち上がる。