捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

***


――それから、一年後――。



「……だからお父様、私はまだ誰とも結婚する気はないし、人と会うのも嫌なの。だから今回の夜会も参加しないわ」



夕食の時間。


向かいに座る父が、次回の夜会へ参加しないか?と誘う。

だが、私は迷わずその誘いを断った。


本来ならば結婚式を挙げる日、その日を過ぎた辺りから、父はなんとなく夜会に誘うような言葉が出てきたように思う。

……それまでは腫れ物に触るような扱いだったのに。


「そうは言っても……。いい加減少しは前向きになれないか?」

「なれないわね。あんな思いをするのはゴメンだし、人の前に出て笑われるのも嫌。私のことなんてほっといて」


このままではいけないと、父も少し焦り始めているのだろう。


あれから一年経ったのだし、新しい一歩を踏み出すべきなのだと思っているからこそ、しつこく私を誘うのだろうけれど。