……いずれにせよ、私が捨てられたことには変わりはないのよ。
私と結婚できなくなったから、婚約破棄した。……ただそれだけ。
「この傷は、本当に癒えるのかしらね……」
小さな声で、ポツリと漏らす。
愛する人を失ってしまった喪失感と、色々な疑念。
さまざまな思いが交差して、悲しいのか苦しいのか、それすらも分からない。
でも、ただひとつ言えることは、もう誰も信じられないし、愛することもできないということだけ。
こんな思いをするのならば、もう二度と人を愛せない。
――ひとりでいいの。
ひとりであれば、誰も傷付かないのだから。

