捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~


……いずれにせよ、私が捨てられたことには変わりはないのよ。


私と結婚できなくなったから、婚約破棄した。……ただそれだけ。



「この傷は、本当に癒えるのかしらね……」


小さな声で、ポツリと漏らす。


愛する人を失ってしまった喪失感と、色々な疑念。

さまざまな思いが交差して、悲しいのか苦しいのか、それすらも分からない。



でも、ただひとつ言えることは、もう誰も信じられないし、愛することもできないということだけ。

こんな思いをするのならば、もう二度と人を愛せない。




――ひとりでいいの。



ひとりであれば、誰も傷付かないのだから。