いまさら悔やんでも、どうする事も出来やしない。
もう婚約破棄は決まってしまったのだから。
口頭だけであればそれを覆すことはできるのだろうけど、婚約破棄に関しての書類まで送られてしまったのなら、これ以上どんなに足掻いても変わることはない。
……でも。
わざわざ国王様が関与するのはどうしてなのだろう?
伯爵家同士の結婚。
どちらの家も特に国にとって重要な地位にいる訳でもない。
特別目をかけられていた訳でもない。
それなのに、なぜ?
……いや、もしかしたら私の知らない所で、ディアスはなにかあったのかもしれない。
それが良いことなのか、悪いことなのかは分からないけれど。
今となっては本当に私を愛してくれていたのか、それすらも分からなくなった。
私に対しての謝罪の言葉もなにもない、淡々と必要事項がかかれているだけの、手紙。
そこには愛情の欠片すら感じられなかった。
愛していなくても、その言葉を言えてしまう男。
それに私は上手く騙されてしまっていただけかもしれない。

