捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

唐突に大馬鹿者なんて言われてしまって、私は呆気に取られた。

え?なに?

私が馬鹿?


「し、失礼な!これでもそれなりに教養は持ち合わせているわよっ!」

「そうじゃない。その意味で馬鹿と言ったんじゃない。違う意味での大馬鹿者だと言っているんだ」


ランスは私を呆れた表情で見つめている。

私は未だにピンと来ずに戸惑うばかりだ。



「そんなに自分を卑下するな。取り柄のない人間なんて誰ひとりいやしない。必ず皆なにかしらの魅力を持ち合わせて生まれてきている。仮になにも持ち合わせていない人間であるなら、私がアリシアを好きになるわけがないだろう?」



「だ、だって、いくら考えたって私はベルフォンヌ様と比べてなにもできないし……」



「でもベルフォンヌ様では私を癒すことはできない。お前だけが私を癒してくれる唯一の人なんだ。どれだけ疲れていようとも、アリシアの顔を見れば元気になれる、アリシアを思い浮かべれば私の活力の源となるんだ。今こうやって騎士団長としてやっていられるのもアリシアのお陰なんだ。それって凄いことだと思わないか?」