捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

立っていられなくなり、その場で崩れそうになるのを、咄嗟にランスが支えてくれる。

「大丈夫か、アリシア」

「……っ」

息が思うように吸えない。

どう呼吸をしたらいいのか分からなくなって、どんどんと苦しくなる。

その苦しさをランスに伝えようにも、言葉を出せなくて口をぱくぱくと動かすことしかできなかった。


ランスはそのまま私を抱きかかえ、ソファーへと座らせる。

そして、浅い呼吸を繰り返す私を落ち着かせるように、背中を優しく撫でた。


「ゆっくりと深呼吸をするんだ。一回無理にでも息を止めろ。そうすれば息を深く取り込めるようになる。そうしたら深呼吸を繰り返すんだ。落ち着くまで何回も」


ランスの言う通りにし、息を止め苦しくなったところで息を吸う。

それを何回か行っているうちに、ようやく呼吸の仕方が分かるようになり、普段の落ち着きを取り戻していく。

私の激しい呼吸の律動が静まるのを確認して、ランスは少しホッとしたような表情を見せた。