……気が付いた時には私は自室の寝台に寝ていて、私の侍女であるアイリーンが心配そうに傍で見守ってくれていた。
目覚めてもなお、私のこめかみの部分が濡れて冷たくなっている。
寝ていても涙は流れ続けていたようだ。
「アリシア様、お目覚めになられましたか?」
「私……」
「旦那様がここまで運んでくれたのです。今回の件、お聞きました。こんな悲しい結果になるなんて、アリシア様のお気持ちを考えたら、胸が引き裂かれるような思いで……」
「アイリーンまでそんな顔をしないで。私は大丈夫よ。……今はとても辛いけれど、時が過ぎればこの辛い思いも多分、癒されていくと思うから」
「なんておいたわしい……!どうしてアリシア様がこんな思いをしなければいけないのですかっ!」
アイリーンはそう言って、顔を手で覆い泣き始めてしまう。
……本当、その通りよね。
どうして私がこんなに辛い思いをしなきゃならないのだろう。
私はただ、他の令嬢と同じように結婚に夢を見ていただけ。
ただそれだけだったのに。
私、なにか悪いことでもしたのかしら。
前世の業がよほど悪いものだった……?

