捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

「これを」

それは手紙だった。

私は受け取ると、裏を返して見る。

そこにはベルフォンヌ様の名が直筆でサインされていた。


「え……?」

「お前宛てにベルフォンヌ様からだ。開けて読んでみるといい」

「ベルフォンヌ様が!?」


王族関係者が、いち伯爵令嬢に対して手紙を書くことは、ないに等しい。

あり得ない出来事に、自然と封を切る手が小刻みに震えてしまう。


中には便箋が一枚。

そこには、『話したいことがあるので、明日城へ来るように』といった内容が書かれていた。


私に話したいこと……!?

感情の読み取れない簡潔な文章に、私の身体は一気に凍るように冷えていった。

もしかしたらその場で良からぬことが起こるのでは、と動悸が激しくなり息ができなくなる。


「明日の朝、迎えに来る。遅れては失礼になるから、早めに準備をしておいてくれ」

「そ……、そんな私がベルフォンヌ様と会うだなんて、できません」

「これはベルフォンヌ様からの命令だ、逆らうことは許されない」


私の願いは即答で切られてしまった。

絶望が私を襲う。


ああ、どうして神様。

私、なにも悪いことをしていないのに、なぜこんな……。