「でも、ベルフォンヌ様には申し訳が立ちません。いくら真実でないにしても、現にベルフォンヌ様は傷付いていらっしゃるのでしょう?」
「だから、それも真実ではない。お前が気に病むようなことにはなっていないよ、安心しろ」
「いいえっ!きっと傷付いていらっしゃるわ!そしてこの罪で我がネリベル家は終わってしまうのよ……!ああ、こんなことになるなんて、お父様にも亡くなったお母様にも申し訳なくて、私はもう生きていけない!!」
「話を聞け、アリシア」
「ランス、お願いだからベルフォンヌ様の思いを受け取って!私なんかよりもベルフォンヌ様の方がなにをとっても勝って……」
「だから話を聞け!!」
ランスは声を荒げた。
怒号にも似た声色に、私の身体は大きく跳ねる。
その表情は固く、厳しい。
「少し冷静になってくれないか。お前が思っているようなことには一切ならない。お前の父上にもあらかじめその話はしてあって根回し済みだ。無論、この噂もいずれ無くなる。今だけの辛抱だ」
「辛抱って……。そう簡単に噂が消えるわけは」
「所詮噂だ。だがその噂如きで怖気づき、私との仲を終わらせたいと思うのならば、こちらにも考えはあるぞ」

