捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

「一応確認のために聞くけれど、アリシアに限ってそんな誘惑してまで、ランス様と一緒になりたかったってことはないわよね?」

「あるわけないじゃない……!むしろ逆よ、私は断っているの。あっちが勝手に話を押し進めてきて困惑しているのよ。ましてやそんな噂になるのなら、ランスとふたりきりで出掛けたり、目立つ様な行動はしなかったわ!」

「あら、ふたりで出掛けたの?」

「……あ。ちょ、ちょっとね。ほぼ強制というか、その」

「それなりに上手くいっているのね」

なんてスカーレットは笑って言うが、私は笑えなかった。


冗談じゃないわ。

どうして私の知らないところで、そんな悪者になっているの。

私が屋敷から出ないのをいいことに、皆言いたい放題じゃない。



……ああもう!

どれもこれも全部ランスのせいよ!


ランスがベルフォンヌ様の思いを受け取ってくれていたなら、こんなことにはならなかったのに……!