捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~


止めどなく涙は流れる。

息も出来ないほどに、胸が苦しい。



これならばまだ面と向かって、"嫌い"だと言われた方がましだった。

こんな終わり方、残酷以外の何物でもない。


あの夜会で、私を傍へ引き寄せ好きだと言ってくれていたのに。

幸福の最中に、私はいたというのに。


もうディアスと会うことも話すこともできない。

あの温もりも、触れ合った時に感じるときめきも、もう感じることもない。


私は絶望の淵へと落とされてしまった。



「……ああああっ!!」


「アリシア……」


小さな子供のように、声を上げて泣く。


父はそんな私を優しく抱きしめてくれ、いつの間にかその腕の中で意識を手放していた。