それから一時間もしない間に、食堂のテーブルに出来上がった料理が並ぶ。
小麦粉を練って焼いたパンのようなものに、乾燥した肉を水でふやかし焼いて味をつけたもの、そして根菜のスープ。
彩りはほぼ茶色で見た目はあまり良くはないが、辺りには香ばしいいい匂いが立ち込めていて、自然とお腹が鳴ってしまう。
「大したものじゃないが、腹は満たされるだろう」
「ううん、とても美味しそう。ごめんなさい、あまり役に立たなくて」
「いや別にいいんだ。それよりも早く食べよう」
ランスは椅子を引いて座る様に促す。
こんな時でも自然とエスコートしてくれるなんて、さすが侯爵なだけはある。
私が椅子に腰を掛けるのを見届けてから、ランスは向かい側に座った。
「ではいただこうか」
「いただきます」
ランスは料理を口に運ぶ前に、パンのようなもので肉を挟んで食べるといい、と教えてくれる。
その通りにフォークで肉をパンに乗せて巻き、ひと口頬張った。
乾燥していた肉だからか、じゅわりとした肉汁が口の中に広がることはなかったが、思ったほど固くはなく、それなりにしっかりと味付けがされていてもっちりとしたパンの生地とよく合う。
スープも根菜の優しい出汁が出て、身体に染み渡った。

