「……これは当分止みそうにもないな」
雨に濡れた服を手で払いながら、ランスが部屋へと入ってきた。
扉が開く音に我に返って私は上半身を起こし、ゆっくりと寝台から立ち上がった。
「メデュールは?」
「予想通り馬小屋で休んでいたよ。心配するほどでもなかったな。……しかし、この状態では帰るに帰れない。夜になればこの辺りはますます危険になる。これは明日までここで待った方がよさそうだ」
「え……?」
明日まで、と聞いて胸がドクリと不安げな音を鳴らした。
この屋敷で、ふたりきり?
ランスと夜を明かすというの……?
様々な心配事が頭を駆け巡る。
男女がふたりきりで丸一日帰らないとなると、父達に相当な迷惑を掛けるのではないか。
大事なことになってしまったらどうしよう、と。
それだけじゃない。
私が一番恐れていたことが、この後起こってしまうのではないかと、それがなによりも不安でどうしようもなかった。

