***
「嘘でしょう!?どうして!!」
その話を聞き、信じられなくてつい、屋敷中いっぱいに響き渡るような大きな声を発してしまった。
あの夜会から二日後、朝一番に父から話があると応接室へと連れて行かれ、そこで信じがたい話を告げられてしまう。
その話とは、レイス伯爵家からの突然の婚約破棄。
私との結婚を辞退する、という衝撃の内容だった。
「嘘ではない。昨日遅くにレイス家の使いの者が来てな……。私宛にと書類と手紙を渡されたんだ。信じられないようなら読んでみるといい」
父は私にその手紙を差し出した。
受け取る手が大きく震えて、上手く手紙を開く事が出来ない。
どうして……!?
あの時までは、私にあんなに愛の言葉を囁いていたのに……!
なんとか封筒から中身を取り出すと、ゆっくりとそれを開いて読み始める。

