周りは年齢を教えたのかもしれない。


きゃー、何歳差ですね、なんて盛り上がったのかもしれない。


私には上手く想像できないけど、女性の手練手管というものは何からでも派生する。


だけど、私に年齢を聞かなかったのは諏訪さんだ。


それで不満だというのなら、それは諏訪さんの落ち度であって。


初めに勘違いしたのはそちらでしょう?


確かに、大人ばかりのあの状況では、高校生が混じっているとは思わなかっただろうけど。


でも諏訪さんは、一人だけ子どもは嫌いなんだけどって言ってのけたんだから、勘づくだけの材料は持っていたはずだ。


……合コンをしたがる、もしくは参加したがる人を皮肉ったのでなければ。


「あなたは勝手に勘違いして追いかけてきて、私と交渉した。違うかな」

「いや、違わない」


顔を上げて向かい合っていても、視線は外されて、こちらを見てはいなかった。


「諏訪さん」


呼びかけるとようやく目が合う。


「私を切ればいい。あなたも私もなかったことにすれば、それで万事が解決する。簡単でしょう?」

「ああ、確かにそうかもしれない」


駄目だ、目が笑っていない。


一見、笑みを浮かべて提案した私を肯定しているようで、本当のところは否定している。


面倒臭くなり始めた関係を、私はまだ続けないといけないらしい。


ああもう、誘導失敗か。