「えぇ?!よ、佳人くん?!」
「え?は、はい?」
____俺、なんか悪い事言いましたか?
その、きょとんとした顔に、はぁーっと溜息をついた。
だって。
それって…。
なんていうか…。
「……プロポーズ…」
「え…?」
「…の、予行練習って事で…聞き流しといて下さいね」
目線を逸らす彼は、耳から首筋まで真っ赤で。
それを見ていたら、私も凄く照れ臭くなってしまった。
「…うん。でも…。と言う事は、また、いつか言ってくれるんだよね?」
と、少しだけ意地悪いことを言ってみるけど、彼はふーっと息を吐いて私を見つめ直す。
「ほんと、完敗ですよ。夢中です。あやめさんに。なりふり構ってらんない程…」
ジッとッ真面目な顔でそんな風に囁く彼。
「も、もう…佳人くん、恥ずかしいってばっ」
それを茶化そうとするも、彼はそれを許さない。
「でも、あやめさんは、こういう俺が好き、ですよね?」
「もう!佳人くんの意地悪!」
「はは。そう怒んないでくださいって。ほら、ほっぺ膨らませてないで、そろそろ家、出ませんか?お昼過ぎちゃいましたよ?」



