【完】好きだという言葉の果てに


朱に染まる頬を両手で挟んで固定すると、彼女はハッと息を飲む。
それを、俺はにこにこと微笑んで、すっと離した。

「大丈夫。こんな場所じゃ、キスはしません」

「…っ、もうっ!ばか!」

ぽかっと胸の辺りを叩かれて、わざと痛いとオーバーリアクション。
そんな俺達のことを、ギラギラした瞳で見ている奴がいるとも知らずに…。


「じゃ、私教室に行って来るね」

「…やっぱり、俺も行きます。なんか、嫌な予感がする……」


大学に入ってから、なんとなく感じた違和感。
周りを見渡せば、甲斐さんとつるんでいる軽音部の面々が揃っていて、その中に不機嫌そうな甲斐さんの姿もあった。