朝から押し入れを開け閉めする音がわたしの部屋まで届いて目が覚めた。

 きっとお父さんが探し物をしているんだろう。

 まだスッキリしない頭を起こして、身体を引きずりながら階段を降りていく。

 
 「まだ見つからないの?」

 和室にいるお父さんに声をかける。

 「あ、すまんな。起こしたか?」

 「ううん。そろそろ起きなきゃいけなかったからいいの」

 朝の陽射しが目に染みる。


 裏山へ行った次の日の夜に奏多から電話があった。

 トキさんのとこへは、今日の昼前から行こうと提案された。

 本音を言えばトキさんの顔を見るのもやだ。

 口をへの字にしたトキさんに今度はなにをぐちぐち言われるのか考えるだけでやっぱり憂鬱だった。

 けれど、奏多との約束だ。

 最後まで付き合うと決めたのは私自身。


 「奏多くんと御門屋に行くんだって言ってたね」

 「うん。でも、まだ時間あるからわたしも手伝おっか?」

 結局、配達が終わらなくて、お父さんのお盆休みも今日からになった。