「てめぇ誰だっ!!」

「「!?」」

襖の向こうから聞こえてきた相須さんの怒声に目を見開く。

…暁くんたちじゃない。それどころか、永塚組の人でもない。

緊張が身体中に走る。

まずい…この部屋の出入り口は今相須さんがいる襖だけ。窓があるにしても、外へ逃げるのが正解なのかも分からない。

足音からして今いるのは1人。なら、増える前に相須さんと協力して逃げ道を確保できるか…?

「ことねぇ、今のうちに大広間に行こ。今からまだ行けるかもしれない」

「コク」

梨々香ちゃんも窓から外に出るつもりはないらしい。

応戦するにせよ、とにかく早くしなければ手遅れになる。

梨々香ちゃんと手を取り合い、襖に近づく。少し開けると、相須さんの背が広がるばかりで奥が見えない。

でも、開けたことに気づいたのか相須さんは手を後ろに回し、反対側を示す。