なあに?と首をかしげた由真ちゃんに、「なんでもないの」と言葉をかき消した。

だって、いま、わたしなに言おうとした……?



「……そっか。それならいいんだけど。

いっぱい種類あるねー。かわいいの見つかりそう」



「……うん。良いのあればいいんだけど、」



どうやって千瀬と付き合ったの?なんて、そんなの。

お互いに好意を持っているからに、決まっているのに。どうしてそんな問いかけをしようとしたんだろう、わたし。



「ふふっ、莉胡ちゃんビキニとかどう?」



「……トモあたりに、調子に乗るなって言われそうなんだけど」



一体どんな返事を、期待したっていうの。




「莉胡ちゃん大人っぽいから、絶対ビキニ似合うよー。

こういうシンプルなのも似合うだろうけど、」



「由真ちゃんはパステルカラーとかフリルとか似合うじゃない。

わたし甘めの格好似合わないってみんなに言われるのよ?」



「わたしも、大人っぽい格好は小学生のお子様が背伸びしてるのと同じぐらい似合わないって言われたよー。

どうやったらどっちも似合うようになるんだろうねー」



わいわいがやがや。

さっき一瞬でも頭によぎった思考はどこか奥底へと閉じ込めて、ふたりで盛り上がる。女の子とこうやって買い物に来るのだってひさしぶりで。



「あとでプリクラ撮りに行こうね、莉胡ちゃん」



「ふふっ、うん。

でもその前に水着決めちゃおうね」



千瀬のことも織春のことも、頭から追い出した。

──お願いだから。目の前にいないときにすら、わたしの心を揺らそうとしないで。