瀧川さんの対応は、みなさん気を遣ってくださるので、基本的に私に回ってくる。


たい焼きをお出しするときとか、お盆をお下げするときとか、私の手があいていると、「かおりちゃんかおりちゃん、行っておいで」って交換してくださるんだ。


そうでもしないとお話する機会が全然ないので、ありがたく甘えさせていただいている。


「わあ、東京ですか。お疲れさまです。お気をつけて行ってらっしゃいませ」

「ありがとうございます」


東京は、友達に会いに行くとか遊びに行くとかじゃない限り私はあんまり行かないけれど、行くときは毎回一日じゃ回りきれなくて予定がぎっしりになる。


どんどん新しいお店が参入するから、目新しいものがたくさんあって楽しいところだよね。

あまり県外に行かない私の中では残念ながら、なんでも売ってるイメージくらいしかないけれど。


今大学四年生なのもあって、卒論とかバイトとかに追われて、なかなかお出かけする時間が作れない。


金銭的余裕もあるわけじゃないから、遠出するよりは、稲やさんでお客さまとお話する方が身近で楽しい気がしてしまう。

私の場合、瀧川さんにお会いできるからっていうのが大きいとは思うけれど。


数少ない思い出をひっくり返すと、友達と食べ歩きをしたのを思い出した。


あのお店、おしゃれだったなあ。お料理も美味しかったし。また行きたいなあ。


……思い出したら、俄然東京に行きたくなってきた。


とまあそんなわけで、私の東京のイメージは、お店がいっぱい、くらいのものなのである。