息を、のんだ。
美しい微笑みに泣きたくなる。
……立花って、また。
また。
あなたはいつも、まるでなんでもないみたいに、ふいに私の名前を呼ぶ。
なんでもないみたいに、なので、なんて気まぐれに言葉を崩す。
そうして私が必死に押し込めた何もかもを、簡単につまびらかにする。
せっかく胡麻の日ですしね、と柔らかくつけ足した瀧川さんに、思わず口を滑らせそうになって、無理矢理きつく口を結んだ。
……このつけ足し方は、きっと、ただの社交辞令だ。自惚れてはいけない。
社交辞令には返し方というものがある。店員とお客さまなら、なおさら。
「胡麻ですね、かしこまりました。ありがとうございます、光栄です」
努めて明るい声を出して、なんとか返事をする。
書き留めとペン立てを瀧川さんの方に滑らせて、両手でペンを持ってお渡しした。
「ご記入をお願いします」
「はい。ありがとうございます」
手慣れた手順。
ペンの両端を支えた私の手を瀧川さんの指先がかすめて、思わず手が跳ねた。
決してときめきにではなくて、そのあまりの冷たさに、手が跳ねた。
……待って。これは冷たすぎる。
瀧川さんがお茶を買うのを待てないくらいには冷たすぎる……!
こんなに長くあたたかい店内にいるのにまだ冷たいなんて、よほど冷えていたに違いない。
私の手が跳ねたのも、どうして跳ねたのかも明らかで、先に気まずそうに目をそらしたのは瀧川さんだった。
美しい微笑みに泣きたくなる。
……立花って、また。
また。
あなたはいつも、まるでなんでもないみたいに、ふいに私の名前を呼ぶ。
なんでもないみたいに、なので、なんて気まぐれに言葉を崩す。
そうして私が必死に押し込めた何もかもを、簡単につまびらかにする。
せっかく胡麻の日ですしね、と柔らかくつけ足した瀧川さんに、思わず口を滑らせそうになって、無理矢理きつく口を結んだ。
……このつけ足し方は、きっと、ただの社交辞令だ。自惚れてはいけない。
社交辞令には返し方というものがある。店員とお客さまなら、なおさら。
「胡麻ですね、かしこまりました。ありがとうございます、光栄です」
努めて明るい声を出して、なんとか返事をする。
書き留めとペン立てを瀧川さんの方に滑らせて、両手でペンを持ってお渡しした。
「ご記入をお願いします」
「はい。ありがとうございます」
手慣れた手順。
ペンの両端を支えた私の手を瀧川さんの指先がかすめて、思わず手が跳ねた。
決してときめきにではなくて、そのあまりの冷たさに、手が跳ねた。
……待って。これは冷たすぎる。
瀧川さんがお茶を買うのを待てないくらいには冷たすぎる……!
こんなに長くあたたかい店内にいるのにまだ冷たいなんて、よほど冷えていたに違いない。
私の手が跳ねたのも、どうして跳ねたのかも明らかで、先に気まずそうに目をそらしたのは瀧川さんだった。


