からりと引き戸が開いた。今日も一番乗りだ。
「いらっしゃいませ。おはようございます」
「おはようございます」
さっきぶり、と言われた。
朝は同じ朝食を済ませたら、私の方が少し先に家を出る。今朝は特に準備があるので早く出た。
その準備の成果は今、私の胸元を飾っている。
「ねえ、要さん」
「うん?」
「見て見て」
左胸に留めた、手書きの名札を示す。
——瀧川かおり。
丁寧に下書きをして、丁寧に丁寧に清書をした。
「やっぱり瀧川って、私にぴったりでしょう?」
『要さんの名字は綺麗だよね。瀧川って涼やかで素敵で好きだよ。それでね、私にも似合うんじゃないかなあと思うの』
『……そうだね。きっと、かおりにすごく似合うよ』
稲中さんと話し合って、結婚式を挙げてから名札を書き換えることにしていた。
結婚式後はバタバタ新婚旅行に行っていて忙しなかったのだけれど、先日そのお土産もようやく配り終わり、諸々が無事落ち着いたので、クリスマスや年末のご挨拶が始まる前にということで、今日書き換えと相成ったわけだった。
「いらっしゃいませ。おはようございます」
「おはようございます」
さっきぶり、と言われた。
朝は同じ朝食を済ませたら、私の方が少し先に家を出る。今朝は特に準備があるので早く出た。
その準備の成果は今、私の胸元を飾っている。
「ねえ、要さん」
「うん?」
「見て見て」
左胸に留めた、手書きの名札を示す。
——瀧川かおり。
丁寧に下書きをして、丁寧に丁寧に清書をした。
「やっぱり瀧川って、私にぴったりでしょう?」
『要さんの名字は綺麗だよね。瀧川って涼やかで素敵で好きだよ。それでね、私にも似合うんじゃないかなあと思うの』
『……そうだね。きっと、かおりにすごく似合うよ』
稲中さんと話し合って、結婚式を挙げてから名札を書き換えることにしていた。
結婚式後はバタバタ新婚旅行に行っていて忙しなかったのだけれど、先日そのお土産もようやく配り終わり、諸々が無事落ち着いたので、クリスマスや年末のご挨拶が始まる前にということで、今日書き換えと相成ったわけだった。


