小倉ひとつ。

「このたい焼き屋さん、営業日が少ないみたいなの。お茶室と庭園にも行こうとすると移動に結構時間がかかるから、できれば日帰りじゃない方が嬉しいんだけれど……」


つまり、お泊まりしたいなーということをそれとなく伝えてみた。


「分かった。じゃあ、行きたいところ決めてから日数決めようか。俺は連休中に休み取れるけど……稲やさん、連休中のお休み取れる?」


それはつまり、土日の一泊だけではなくて、二、三泊くらいはしようかというお誘いだった。


「うん。有給好きなところで使っていいよっておっしゃってくださってるから大丈夫。もしかしたら連休中にお休み取るかもしれませんってご相談してあるし」

「そっか、安心だね」


ひとまず日付を決めて、お互いお休みを確保してくる約束をした。


ふたりでじっくり話し合って、たい焼き屋さんとお茶室と庭園を巡る素敵な計画を立ててある。ホテルも決めた。

十一月下旬なら、寒さが迫ってはいるものの、移動に困るほどではないだろう。


幸いお互いお休みを取れてからというもの、毎日のように指折り数えては楽しみにしている私に笑って。


「ねえ、かおり。ごめんね、やっぱり予定変えてもいい?」