好きでいることには、いろいろな形がある。


でもきっと私たちの恋は、お互いを見つめるのではなくて、お互いに同じ方向を向く、どこかが重なる恋だ。それこそたい焼きとか。


私はいつでもたい焼きに彩られたこの恋を、今はもう、ため息と涙で固めた、塩からい味にするつもりはなかった。


いつでも優しく甘い、たい焼きみたいにほかほかあたたかい関係にしたい。


「今日は飲んでもいい?」

「いいけど、……あれ? もしかして飲まないようにしてた?」


緊張してるときに飲んで記憶が飛ぶのを心配してたのかと、と言われたけれど。


「だって酔ったら困るかなって……要さん、外で私が飲んだらあんまり飲まないようにするでしょ?」

「まあ、うん。ちゃんと送りたいから」

「ありがとう。でも、だから私だけ飲んだら寂しいなって。でも今は家だから送ってもらわなくていいし……」


しどろもどろな私に、そっか、とゆっくり相槌を打って。


「もう一杯飲む?」

「うん」


お互い好きなように飲みながら、意を決して、さりげなく聞こえるように気をつけつつ声をかける。