条件がついているのは、別に意地悪とか私では不安とか、瀧川さんを信用していないとかではなくて、単に、私がゆっくりできるようにだろう。


あとは、小倉じゃなくて、ゆっくりする気で、私を指名だなんて、そんな瀧川さんがあんまりにも珍しいからだろうなあ。


一時間は外に食べに行くには少し不安な時間だから、いつもお昼は裏でささっと済ませてしまう。


稲中さんはいつも通りの時間を指定しただけだけれど、絶妙だ。


いろいろそろばんを弾いて、いつも通りの時間にしたのだ。


外食は言い訳にできないし、瀧川さんも大抵お持ち帰りしないときは誰かと話しながら一時間くらいいらっしゃるし、私は別に一緒に食べたくないわけではないのである。


「ちょうどお昼の時間だし、一緒に食べておいで」


渡されたお盆の上の、かぼちゃたい焼きふたつに慌てる。


「ま、待ってください、瀧川さんに確認取らせてください……!」


確認を取ってばかりだけれど、これが取らずにいられようか。


「大丈夫大丈夫、瀧川くんなら嫌がらないよ」

「いえ、そうではなくて、もし嫌がられなくてもですね、勝手にご一緒させていただくわけには……!」


私の心臓がもたないので、とにかく急いで確認を取りに戻った。