「指輪? ペアリング?」
「いや、予約させてって指輪」
つまりは婚約指輪だった。
えっ、いやでもそうだよね、ペアリングならお出かけしたときにそのままお店に寄るのでも大丈夫だもの、普通日付は聞かないのかな……!? 全然分からないけれど!
きょとんと聞き返したままの顔でぐるぐる考えて固まった私に、困ったように眉を下げる。
「八つも年上なのに、余裕なくてごめんね」
切なさで倒れてしまいそうな声だった。
消え果てそうな声を聞きながら、不安げな顔はしないでくれるところが好きだと思った。
ごめん嫌だった? とか、重かった? とか、早かった? とか、そういうことは聞かないでくれるところが好きだ。
要さんは、私のことは何も責めない。
ときおり年の差を気にするとき、その原因に、年下の私の本気度に対する心配ではなくて、自分の年齢だけを挙げる。
ただ自分が不安なんだっていつも言う。
三十歳と二十歳そこそこでは恋愛における本気度が違う、というのが一般論なのは分かっている。
でも、私の恋は確かに定石通り憧れから始まったけれど、年上のお兄さんへの憧れだけで今も続いているわけじゃない。いっときの気の迷いでもない。
始まりは、同い年よりも年上が格好よく見える、というよくあるきっかけだったのかもしれない。
でも、年上フィルターのおかげで恋をしたわけじゃない。
だって、もし要さんが私より八つ年下でも同い年でも何歳でも、年齢なんて関係なく、私が好きなのは要さんなのだ。
「いや、予約させてって指輪」
つまりは婚約指輪だった。
えっ、いやでもそうだよね、ペアリングならお出かけしたときにそのままお店に寄るのでも大丈夫だもの、普通日付は聞かないのかな……!? 全然分からないけれど!
きょとんと聞き返したままの顔でぐるぐる考えて固まった私に、困ったように眉を下げる。
「八つも年上なのに、余裕なくてごめんね」
切なさで倒れてしまいそうな声だった。
消え果てそうな声を聞きながら、不安げな顔はしないでくれるところが好きだと思った。
ごめん嫌だった? とか、重かった? とか、早かった? とか、そういうことは聞かないでくれるところが好きだ。
要さんは、私のことは何も責めない。
ときおり年の差を気にするとき、その原因に、年下の私の本気度に対する心配ではなくて、自分の年齢だけを挙げる。
ただ自分が不安なんだっていつも言う。
三十歳と二十歳そこそこでは恋愛における本気度が違う、というのが一般論なのは分かっている。
でも、私の恋は確かに定石通り憧れから始まったけれど、年上のお兄さんへの憧れだけで今も続いているわけじゃない。いっときの気の迷いでもない。
始まりは、同い年よりも年上が格好よく見える、というよくあるきっかけだったのかもしれない。
でも、年上フィルターのおかげで恋をしたわけじゃない。
だって、もし要さんが私より八つ年下でも同い年でも何歳でも、年齢なんて関係なく、私が好きなのは要さんなのだ。


