「了解」


さらっと頷いて、要さんはごく普通にご飯の続きを食べ始めてしまった。

行きたいところを考えておいてね、と言い置ける余裕っぷり。


私はこんなに顔が熱いのに、要さんは全然くらっていない。どういうことだ。


……くそう。私ばかりが舞い上がっている、気がする。


要さんは、話したことをできるだけ覚えていようとしてくれている。覚えてるよって示そうともしてくれる。


なんというか、それだけがいつも、とても嬉しい。


ちゃんと話を聞いてくれて、それを覚えていてくれて、大事にしてもらって。穏やかに笑ってくれて。


要さんを見るに、恋人はお互いに大事にし合うものなのかなあとは思うのだけれど、告白をする前もちゃんと覚えていてくれたなんて、あまりに幸せで、あまりに眩しい。


最近、大事にしたいなと何度も思う。


かつてこの「好き」はただの憧れで、戒めと諦念がまとわりついた敬愛だった。

それが変わって、少しずつ柵がなくなって、告白をして。


そうして、私のことで手一杯だった両手に、要さんのことも抱えられるようになった。


大事にしたい。要さんを大事にしたい。優しい今を大事にしたい。


好きだよと言える贅沢を、大事にしたいと思った。