「そういえば、かおりって初詣はいつもどこに行ってるの?」


ちょっと唐突だけれど話題を変えてくれたのかと思って、混乱しながら毎年お詣りする神社の名前を告げる。


「そうなんだ。じゃあ来年は一緒にそこ行こう。俺もそこのおみくじ引く」と言われてさらに混乱。

全然話についていけていない私に、ああごめん、俺の中では繋がってたんだ、と前置いて。


「『景色の良いところで食事をすると距離が縮まるでしょう』」

「っ」

「確かに雑誌の占いめいてるけど、よく当たるみたいだから、縁担ぎに行こう」


——景色、いいところだったでしょう。


『綺麗ですね。素敵なお店を紹介してくださって、ありがとうございます』


そうだ、卒業祝いをした夜、夜景を見ながら私はそんなことを言って、乾杯した。


今の今まで全然気づいていなかったけれど、あの日はそういうことだったのか……!


種明かしするみたいないたずらな目にずるいなあとは思ったものの、これ以上はなんだか私が撃沈するだけな気がしたので、話をそらしておく。


「……明日のオムレツ、チーズ入ってるのが食べたいです」