小倉ひとつ。

ああもう、と吐いた吐息が甘かった。


「避けられてたんじゃなくて?」

「全然、そんな!」


まさかである。


「嫌われてたんでもなくて?」

「好きな人とじゃなきゃお食事になんて行かないよ」


言外の告白に、うん、そうだね、そうだよね、と要さんが頭を抱えた。


「ねえ、かおり。言っておくけど」

「う、うん」

「俺も、好きな人とじゃなきゃ食事になんて行かないからね」

「っ」

「相席も、家に呼ぶのも、映画を観に行くのも、食事も、好きな人じゃなきゃしないよ。だから、少なくともその間は、俺がかおりをずっと好きだったことだけは、知っておいて」


ん? うん? それって、それって結構前からじゃない?


未成年のときの相席はもちろん優しさからに決まっているので除くとしても、成人してからの相席は何度かある。

というかお家にも行っている。


そう考えると、……え、あの、え……!?


逆算がなんだかものすごい結果を弾き出したので、勢いよく見上げたら。


「ごめんね、多分それで合ってるかな」

「えっ」


言外の肯定。いや全然謝るようなことではないですけれども。


「好きだよ」

「ありがとう、ございます……」


さらっと落とされた微笑みに視線を泳がせつつ、なんとかカトラリーを持ち直す。ああお肉美味しい。