小倉ひとつ。

心臓があまりにうるさい。やっぱりお酒にしなくてよかった。


冷たさに縋るようにシャンパンを飲み干して、ふたりでまた同じものをお願いする。

……残り一杯もこれになりそう。


ウェイターさんが離れてから周りを見計らって、近くに誰もいないのを確認する。


今さらだけれど、私に弁明をさせてください。


「要さん」

「ん? なに?」


そうっと呼びかけると、寄越された相槌が甘かった。


かたり、置かれたカトラリーに合わせて、私もカトラリーを置く。


「あのね、ごめん、先に謝っておくね。本当にごめんね」

「えっ、なに? どうしたの」


笑わ、……引かないで、ほしいんだけれど、と前置きしつつ、ふい、とやっぱり思わず横を向いてしまう。


ワア、ケシキガキレイダナー。


笑うどころではない。大変あれな自覚はある。


でも、勘違いさせてしまったのを謝りたかった。


本当にごめんなさい。できれば言い訳をさせてください。


なんとか顔を正面に戻してから、ゆっくり口を開く。


「あの……横、向いてたのはですね」

「……はい」


私の緊張が合わせ鏡で映ったみたいな要さんの、強張る顔を見つめる。


あのとかそのとかええととか、たくさん前置きをして遠回りをしつつ。