小倉ひとつ。

「じゃあ俺も飲みません。でもそうですね、ノンアルコールのシャンパンはお嫌いですか?」

「いえ」

「せっかくのお祝いですから、一杯いかがですか」

「ありがとうございます、いただきます」


お祝いといえばシャンパンだよね。

三ドリンクっていうのは本当なら、食前酒、食中酒、食後酒って意味合いだったんだろう。


「いえいえ、こちらこそ。わがままを言ってすみません」

「いえっ、とんでもないです……!」


わたわたしていたら、さらっとウェイターさんを呼んでくれた。


気づいたウェイターさんがこちらに向かう間に、美味しそうですね、とさりげなくメニューを確認してこちらもいただきませんかと誘ってくれたので、ふたりでデザートもばっちり追加した。


注文時に誘われたので、うっかりするっと促されて頷いていた。

私が頷きやすくて、お店の方の負担にならないタイミングだった。すごい。


やはりさすがの小粋な社会人男性力である。


瀧川さんの気遣いが素敵だなあと思うのは、一方通行じゃないからだ。

私のことも、お店の方のことも考えていらっしゃるからだ。


押しつけではなく、無理もせず。そういうところがすごいなあと思う。