小倉ひとつ。

眼差しが甘くほどける。


ひえ、と思った。かわ、え、かわい、駄目だ体温が、体温が上がる……!


顔を真っ赤にしている自覚がある。


口を開け閉めしながら視線を上げると、正面でこちらを見つめる瀧川さんが、少しだけ意地悪そうな、楽しそうな顔をしていた。


「舞い上がってるんですか?」


うぐ。


「ちが、くないですが……!」


そう、違くない。違くないのである。


どう見ても舞い上がっていないとは言えない。慌てすぎて言っちゃったのが本心だから困る。

私は舞い上がっているっていうか心臓がうるさいっていうか、今お酒飲んだら絶対すぐ酔うと思うっていうか。


悪ノリするサークルの先輩みたいに、悪酔いしたら介抱してあげるからお祝いっぽく派手にいこうとか強引に言わないあたり本当に好きなんですけれど、舞い上がってるは深掘りしなくてよかったです瀧川さん……!

明らかに言い間違いって分かると思うんです。


ええとええと。言い直して上方修正したい。慌てて言葉を探す。


えっと、その、えっと、あの、とまごついて。結局。


「舞い上がっちゃ、駄目ですか」


何も思い浮かばなかったので、そろりと見上げたら。


「……俺も今舞い上がりました」


一人称が私のときの顔に比べて、瀧川さんの、俺のときの顔はやたらと甘い。