小倉ひとつ。

お高い服を買ってよかった。ホテルと聞いて、私にしてはちょっといい服をこのために買ったのだ。


どこに行くかきちんとホームページのURLを送ってくれるあたり、瀧川さんは手慣れている。


ホテル側から明確に指示されなくてもある程度ドレスコードがあるので、私としては気にしておきたいところ。


サプライズって言われると服が決められなくて困るタチです。


こう、なるべく上品な感じをイメージして、手触りのいい、襟元が詰まりすぎていない、レースをあしらったワンピースにした。


ランチのことも鑑みて、あまりにもドレスっぽくならないように慎重に選んだから、ランチでもディナーでも大丈夫なはず。


寒いと困るのでハーフ丈のジャケットも羽織ったけれど、室内はあたたかい。ジャケットは大丈夫だったかもしれない。


「綺麗ですね。素敵なお店を紹介してくださって、ありがとうございます」

「いえ、恐縮です。気に入っていただけたのでしたらよかった」


窓の外を見ながらかろうじてお礼を言うと、正面で瀧川さんが優しく微笑んだ。


うっ、かっこいい。というかさっきから正面が向けない……。


ホテルなのでカジュアルすぎないようにということだと思うのだけれど、瀧川さんもさらっとジャケットを羽織っている。


かっちり決めた服、似合いすぎではないだろうか。


今までの私服も、結構ジャケットとか襟がある服とかが多かった。そういうものがお好きなのかな。


瀧川さんは圧倒的にフォーマルが似合う。


女子力ならぬ大人力。小粋な社会人力かもしれない。