小倉ひとつ。

映画は観に行ったものの、かっこいいと思った台詞や展開がうまく出てこなくなるくらいには、おそろしく緊張している。


せっかく映画の後なのにあんまり話題が見つからない。


チケット代をまとめて払ってもらいそうになって、慌てて死守したことは覚えている。


あんまり集中できなくて製作陣の方ごめんなさい。お隣が気になって気になって、ずっと心臓がうるさかった。


……ああ、それにしても。こんなに素敵なレストランで、こんなに綺麗な夜景を見ながら瀧川さんとご飯だなんて、まるで夢みたいだ。


ディナーはホテルのレストランだった。


映画館を出てから映画の感想を話しながら、のんびり道なりに歩くと五分もせずに着く、駅直結のホテル。

高校の同窓会をここの別のレストランでしたはず。


少しオレンジっぽく明度を落とした照明と、上質な絨毯と、美しいテーブルセット。


ナプキンホルダーがついてる布のナプキンなんて久しぶりすぎる。


手に取って手触りのよさに慄いた。いつもはざらざらの紙のナプキンだよ。


テーブルクロスもカトラリーレストも、椅子も、ウェイターさんも、何もかもが落ち着いておしゃれだ。