小倉ひとつ。

そうすると、やっぱり私がお正客になるのがいいと思うんだけれど、瀧川さんと私のお茶のタイミングが大幅に違ってしまう。


……絶対お話しにくくなるよね。


向こうで点てたものを持ってきていただくなら、ふたりぶん一緒に点てて持ってきてくださると思うから、話すタイミングは大体揃う。


どちらでもと言ったものの、よくよく考えたら、点ててから持ってきてもらう方がいい気がしてきた。


想像してみたらしい瀧川さんも、若干気まずくなる絵が浮かんだんだろう。

そうですね、ええと、とゆっくり口を開いた。


「点てていただいたお茶を、お菓子の後に持ってきていただく方でお願いしたいと思います」

「分かりました」


しっかり頷く。


瀧川さんがお道具にご興味あるかなって思ってどちらでもって言ってみたんだけれど、やっぱりそうだよね。

お道具への関心より気まずさが勝つ気がする。


「私も今考えてみて、そちらがお話しやすくていいんじゃないかなと思いました」

「そうですよね。気にしすぎかもしれませんが、なんだかお話しにくくなってしまうような気がして」

「もちろん慣れてらっしゃるでしょうし気にしないでくださるとは思うんですが、せっかく点ててくださるのにあまり私語ばかりでは気が引けますものね」


じゃあそうしましょう、と話をまとめていると、しばらくして奥さんが注文を聞きに来てくださった。さすがのタイミング。