まだ、がよく分からなくて、ひとまず頷く。


「帰りに何かひとつ小さいものを買おうかと思っていますが……」


初めに話した、今日はクリスマスだから、帰ったらひとり寂しくケーキを食べますって話のことだと思われた。


でも、まだとは。


あ、おなかいっぱいじゃないかってことかな。


たくさん食べたもんね。食べたいって言ってたのに、こんなに食べててケーキ大丈夫かなって思うよね。


「ありがとうございます、大丈夫です。甘いものは別腹ですので」


ご飯はちゃんと量が少ないものを選んだから、グラタンを食べ終わっても、一ピースぶんのケーキくらいは美味しく食べられる。


瀧川さんの家庭用たい焼き器の型が、そんなに大ぶりじゃなかったのもある。


それはよかった、と口元を緩めた瀧川さんは、もしよろしければ、とゆっくりこちらを見つめた。


「せっかくですから、ご一緒させていただけませんか。メニューには、確かクリスマス限定ケーキもあったと思いますし」


ええと。


どうしてか——寂しいクリスマス、一緒にケーキを食べてみたかった人が、目の前で微笑んでいる。