小倉ひとつ。

お土産や差し入れをくださるときも、必ず要望や好みを聞いて、それに沿って買ってきてくれる。


自分が美味しいと思うものをただ買ってくるのではなくて、相手の好みを把握してから、その中で自分が美味しいと思ったものを選ぶところが、本当にこまやかだ。


苦手なものをいただくと、食べられなくて申し訳ないもんね。


お稽古では相手の好みに合わせると大変なので、聞かないで習った通りに入れたり、自分が好きな量にしたり、お好みで点ててしまう方も多い。


お招きいただいたお茶席では、当然作法に則って点てたものをいただく。


量をリクエストできるのは、自分で点てるときか、家族と個人的に楽しむときだけだ。


「一度少なめに掬っていただいてもよろしいですか。ありがとうございます、そのくらいの量を二杓お願いします」


私が習っている流派は、茶杓で二杓、の流派。お稽古のときも家で点てるときも、基本作法通りに二杓入れる。


瀧川さんの一杓は少し多いので、それを少なくして二杓掬えば、慣れ親しんだ味だった。