小倉ひとつ。

「サクサクといえば、ラスクとか」と思い返すように数えて指を折る瀧川さん。


あの日以来、大抵お土産や差し入れにサクサクしているものを選んでくれる。


「クッキーとか」と私。


これは最初の頃にいただいた。サクサクといったらクッキーだよね。


チョコと抹茶とレモンの味にそれぞれ分かれていて、どれも美味しかった。


抹茶も私の好みに合う美味しい抹茶で、苦くもなく甘くもなくちょうどいい感じだった。


お菓子だと抹茶と言いつつお砂糖味のものが多くて少しためらったんだけれど、全然お砂糖味ではなかったので、多分、抹茶が美味しいから選んでくださったんだと思う。


特に抹茶が美味しかったです、とお礼を言ったはずだ。


一緒に指を折ってみせると、「パイとか」と瀧川さんも続けて指を折る。


アップルパイはりんごが美味しい季節にいただいた。


りんごが丸ごと入ったパイは、りんごの爽やかな甘みとサクサクの生地が美味しかった。


りんごが美味しい県に出張されるというお話になったときに、りんごのお菓子の話になって、子どもっぽいかもしれないけれど、シナモンが苦手だって話の流れで申告したからか、シナモンが入っていないものにしてくださったのがありがたかった。


「それから、たい焼きのハネとか」


ゆっくり指を折って、瀧川さんの手を見る。


私と一緒の数だけ指が曲げられた手からたどっていたずらっぽく見上げると、瀧川さんも私と同じいたずらな目をしてこちらを覗き込んだ。